今回は、よくご相談をいただく「ことば」の発達について考えてみたいと思います。
まずは「ことば」について、整理してみましょう♪
「ことば」の三本柱って?
ことばを発し、コミュニケーションが取れるようになるためには、それを下支えする発達上の土台がたくさん必要です。
3つに分けて考えてみます。
1. 言えることば
発音する力、舌や口など体の使い方に関係します。
2. 分かることば
音やことばを聞く経験に裏付けられた認知など大脳の働きに関係します。
3. 通じ合う心
コミュニケーションのこと。心の育ちと大きな関係があります。
質問に答えるための力って?
例えば、りんごを指さして「あれは何?」という質問に答えるためには、こんな力が必要です。
- 情緒の安定
- 姿勢を保ち、視線を向ける力
- 指さしの方向や相手の意図を理解する力
- 答えようとする意欲
- 「りんご」に向ける注意力
- ことばを聞き取り、理解する力
- 経験や記憶と「りんご」を結びつける力
- 「りんご」という言葉を想起する力
- 「りんご」という音を口で表出する力 etc
にこにこのアプローチ
にこにこでは、直接的に「ことばを話す」ための指導というよりも、その土台を育てるためのアプローチを考え「3. 通じ合う心の育ち」を意識して指導しています。
情緒が安定し、集中して取り組めるような環境設定
見通しを持てるように、その日のスケジュールを視覚的に分かりやすく提示して、一つプログラムが終わるごとにお子さん本人がチェックを入れます。
身体のコントロール力を上げるための「基礎感覚」に働きかける運動
姿勢を保つだけで体力が消耗してしまわないように、体幹を鍛える動きも大切です。
そして体を自分の思うように動かせるようになること、複数の感覚を同時に使えるようになることに働きかけています。
活動を通して、人との関わり方を学ぶ
お子さんの動きや指さしに、先生が言葉を添えて語彙を増やすようにしています。
子どもが遊びたいおもちゃがあるときは、先生へ意思表示してやり取りした後、おもちゃを受け取って遊びます。
子ども:「〇〇貸してください」
先生 :「はい、どうぞ」
子ども:「ありがとう」
ことばが出ないお子さんとは、指差しやサイン、写真やカードなどを活用します。
欲しい!やりたい!と思う時が、表出を促すチャンスです!
忙しい子育ての最中に、このやり取りを意識するのは面倒かもしれませんが
- 「何が欲しいのか。」
- 「どうして欲しいのか。」
を伝えてもらう機会を重ねると、お子さんの中で、他者と自分の境界の理解につながります。
意思表示することで、自分の思いが理解してもらえる、という経験ができます。
その先には、他者を理解する、他者の思いを想像することへと繋がっていきます。
自分の子育てを思い返した時、我が子のニーズをキャッチして先回りして取ってあげたり、準備してあげることがこの子を分かっている母の役目であり、良いことだと思っていました。
けれども、子どものコミュニケーション力を伸ばす機会を奪っていたかもしれないなと、今振り返って思います。
「ことば」の発達についてにこにこで大切にしていること
「ことばの発達」▶︎「コミュニケーション力の獲得」
にこにこの療育では、発語(縦)だけに注目せず、表現力(幅)を広げていけるような活動や関り方を心がけています。
ことばが出ない段階でも、コミュニケーション力を促す関わり方はたくさんありますので、ご家庭でも意識してみてくださいね♪
具体的にご相談などあれば、いつでもお声がけください。